遺産分割協議
遺言書が無い場合、また遺言書が有っても、受取人の書かれていない財産が見つかった場合、相続人間での協議が必要となります。
通常は、相続人の代表者が相続人間の合意をとり、分割協議をまとめますが、専門家に依頼する場合も有ります。
ここで、まとまらなければ、裁判所による、「調停」「審判」といった手続きとなります。
遺産分割協議Q&A
遺産分割協議成立後に、遺言書が出てきたのですが、どうすれば良いですか?
遺言書において、法定相続人以外の第三者が受取人に指定されていた場合は、その方の権利侵害になりますので、無効となります。
相続人のみへの指定の遺言書だった場合、遺言書の内容と協議内容が大きな相違がなければ、相続人全員の合意により協議を有効とすることも可能です。
ただし、相続人の1人でも遺言の執行を望んだ場合は、先の分割協議は錯誤無効となり遺言執行となります。
いずれの場合も既に行われた分割協議を無効とする場合は、その協議を無効とする合意文書を作成しなければ、協議後の贈与・譲渡と扱われ、高額な贈与税等の課税を受けることもあるので注意が必要です。
相続人の中に判断能力がない人がいる場合どうすればよいでしょうか?
その方の判断能力の程度に応じて家庭裁判所に成年後見開始の申立て、もしくは保佐開始または、補助開始の申立てを行います。選任された成年後見人や保佐人、補助人の助を受け、遺産分割協議をすることになります。
相続放棄がされているか知りたいときはどうすればよいでしょうか?
相続人が相続放棄したかどうかを調べるためには、家庭裁判所に、相続放棄の申述の有無について照会する必要があります。照会が出来るのは、利害関係を疎明した第三者(共同相続人、後順位相続人、相続債権者等)です。
相次いで相続が発生したときはどうすればよいですか?
相次相続が発生した場合は、まず一次相続の遺産分割を行なってから二次相続の分割を行ないます。父、母が亡くなり子のみが相続する場合などは、一次相続と二次相続の遺産分割協議書を1つの遺産分割協議書にまとめても良いでしょう。ただし相続税の申告は別々に行なうことになります。
父の死後、後妻から相続に必要だと言うことで、委任状と「父から生前贈与を受けているので、相続する相続分がないことを証明します。」と書かれた書類が送られてきました。「書類に実印を押して、印鑑証明書を同封して返送ください。後日ハンコ代として50万円をお送りします。」とも書かれています。これに印を押すとどうなりますか?この書類の返送後に改めて遺産分割を請求できますか?
このような書類は相続分なきことの証明書と呼ばれています。特別受益者がこの書類を提出することにより、遺産分割や相続放棄といった煩雑な手続きを経ずに他の相続人が遺産を取得することが出来るようにするものです。これに署名押印すると、相続分の放棄又は50万円で相続分を譲渡したとみなされ、改めて遺産分割を請求することは出来なくなります。申し出に納得できないのであれば、証明書に署名押印せず、遺産分割の請求をしたほうが良いでしょう。
父が亡くなり相続となっていますが、父名義の家に長男夫婦が同居していまして、その後も居住を続けています。遺産分割の話しも進展していません。相続人の私から、家屋の明け渡しや賃料の請求をすることは出来るのでしょうか?
特段の事情が無い限り、遺産分割により建物の所有関係が確定するまでは、それらを求めることは出来ません。同居の相続人には引き続き無償で使用させる旨の「使用貸借契約」の合意があったと推認されるからです。ただし、同居の長男夫婦が建物管理に費やした修繕費や租税公課等、維持管理費用は必要費の負担として長男が負担すべきとされています。
相続人の一部に生死不明者がいて、遺産分割協議が出来ない場合、どのようにすればよいですか?
相続人の一部に生死不明者がいる場合には、そのままの状態で遺産分割協議を進めることは出来ません。そのような場合、@生死不明者の生存を予測して、家庭裁判所に不在者の財産管理人選任の申立てをし、その選任された財産管理人と協議をする方法と、A生死不明者について、家庭裁判所に失踪宣告の審判の申立てをし、その審判を得て、失踪者が死亡したものとみなして、失踪者の相続人(死亡とみなされる前後によっては代襲者)が代わりに遺産分割協議を行なう方法があります。
長年放置してきた祖父の不動産があります。私が固定資産税を払ってきたのですが、他の相続人にその支払い分の負担を求めることは出来ますか?
遺産の管理の為の費用(水道光熱費・固定資産税など)も遺産の中から支出されます。共同相続人の1人が管理費用を立て替えた場合、どのように精算するかは、相続人間の協議によります。ただし、遺留分相当額からこの管理費用の負担を求めることは出来ません。
遺産分割後に判明した相続人との遺産分割はどのように行なえばよいですか?
遺産分割後に、相続人の存在が明らかになる場合があります。「死後認知」の確定などです。
分割後に「死後認知」がなされた場合、被認知者は遺産分割のやり直しを求めることは出来ませんが、相続人に対し自己の相続分の価額の支払請求が出来ます。